はじめに
その人は、最初ひとりで食べる。
誰とも話さず
誰にも見られず
ただ、決められた場所に座って
静かに食べる。
味は、よくわからなかった。
温かいのか、冷たいのかも
はっきりしないことがあった。
それでも
食事の時間は削られない。
どんな状態でも
その時間だけはそこにある。
命に触れる時間
部屋には、音が流れている。
音楽とも、言葉ともつかない
とても静かなもの。
よく聞こうとしなくてもいい。
ただ、どこかで重なっている。
いま、私は受け取ります。
この一口が
私を生かしています。
見えないところで育ち
ここまで届いた命を
いま、私は受け取ります。
私は、急がなくていい。
私は、味わっていい。
ここにあるものは
ただ満たすためではなく
命に触れるためにあります。
私はいま、ここに在り
この命と共にあります。
ありがとう。
その人は、その言葉をちゃんと聞いてはいなかった。
意味も考えていなかった。
ただ、音の中で食べていた。
静かな共在へ
しばらくして
同じ空間に、誰かがいる日が来た。
視線を合わせることはない。
会話もない。
ただ、それぞれが
静かに食べている。
それでも、少しだけ違った。
ひとりではない、という感覚が
どこかにあった。
お茶と小さなおやつ
さらに日が経つと
食事の前や後に
お茶が出るようになった。
そして、その横に
ほんの少しだけ
小さなおやつが添えられていた。
甘いものだったり
やさしい味のものだったり。
それは、満たすためのものではなく
🕯️ 心に触れるためのものだった。
湯気の立つカップを持ちながら
その人は、少しだけそれを口にする。
「温かいね」
誰かの声が
静かに重なる。
おやつの甘さと
お茶のぬくもりと
その一言だけで
どこかが
ほどけるようだった。
命だけでなく
心も、少しずつ受け取っていく。
笑って食べる日へ
ある日、その人は
少しだけ笑った。
誰かが言った
ほんの小さなことに。
気がついたら
食べることが、戻ってきていた。
無理に変わったわけではない。
ただ
ひとりで食べて
静かに共に在り
少し話して
その先に、笑いがあった。
流れ
ここでは
それが自然な流れだった。
急がなくていい。
でも、食事の時間は
いつもそこにある。
命に触れる時間として。
おわりに
この流れは決まりではない。
ただ
こんな順番もある、というだけ。
ひとりで受け取り
やがて、共に在り
ほっとして
笑えるようになったら
一緒に食べる。
その時間は
誰にも閉ざされていない。
You can just eat.
You are safe here.
Take your time.
もし何か感じたら、ひとことでも大丈夫です。
あなたの言葉をそっと置いてくださったら嬉しいです。
You can leave a short, gentle message.
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