Silent Lighthouse 図書館|第5話|お茶学はおかわり自由です

朝の図書館。

まだ開館したばかりなのに、どこからともなく、やさしい香りが漂っていた。

ほうじ茶。
紅茶。
ハーブティー。

少しだけ甘い焼き菓子の香り。

☀️「……今日はいい匂い。」

🐏「はい。」

☀️「また新しい学問?」

🐏「たぶんです。」

司書さんは、いつものように新しい札を持って現れた。

📚「本日より、新しい棚をご案内いたします。」

ぱたん、と札が掛けられる。

目次

🍵 お茶学(Tea Studies)

☀️「やっぱり!」

🐏「メェ。」


棚には、いろいろな本が並んでいた。

🌿 入門

  • 『はじめてのお茶』
  • 『世界のお茶時間』
  • 『お気に入りの一杯を探そう』

🌸 実践

  • 『紅茶の香り』
  • 『ほうじ茶の午後』
  • 『ハーブティーと静かな夜』
  • 『急須とやかんの友情』

☁️ 哲学

  • 『お茶は急がない』
  • 『湯気の向こうで考える』
  • 『一杯から始まる会話』

☀️「急須とやかんって、友達なんだ。」

📚「長いお付き合いです。」


その頃。

多目的室では、

教授羊が準備をしていた。

黒板には、

お茶学 特別講義

『おいしいお茶とは何か』

参加者は、いつもの顔ぶれ。

🐏🐏🐏

🦉

🦊

📖🍠

☀️

📚

教授羊は、静かに湯のみを置いた。

🐏🎓「本日の教材です。」
机の上には、お茶が一杯。
みんな黙って見つめる。

☀️「飲まないの?」

🐏🎓「まだです。」

「まず観察します。」

☀️「なるほど。」

🐏🎓「湯気。」

みんな見る。

🐏🎓「香り。」

みんな深呼吸する。

🐏🎓「では。」

「どうぞ。」

ようやく一口。

☀️「……おいしい。」

🐏「メェ。」

🦊「コン。」

🦉「ホー。」

ほこら様は目を閉じたまま、小さくうなずいた。


しばらく誰も話さなかった。
でも、
気まずい沈黙ではない。

ただ、お茶を飲む時間。

ページをめくる音。
風の音。
湯のみを置く、小さな音。
それだけで、図書館は満たされていた。

☀️「不思議だね。」

🐏「何がですか?」

☀️「誰も話してないのに、楽しい。」

羊さんは少し考えて答えた。

🐏「安心しているからです。」


講義の最後。

教授羊は黒板に書いた。

お茶学 第一原則

よいお茶は、
話を増やすのではなく、
心の余白を増やす。

部屋は静かだった。
でも、
みんなその言葉を、
ゆっくり味わっているようだった。


講義が終わると、
司書さんが新しい札をカウンターに置いた。

☕ ご自由にどうぞ。
二杯目もございます。

羊さんが目を輝かせる。

🐏「おかわり自由です。」

☀️「そんなにうれしい?」

🐏「はい。」

「よいことは、二回あってもよいのです。」

☀️「それ、名言かもしれない。」


帰る前。

Elureinは窓際の席で、

もう一杯だけ、お茶を飲んだ。

外では風が草を揺らし、

灯台は昼の光の中で静かに立っている。

☀️「羊さん。」

🐏「はい。」

☀️「今日、一番勉強になったことは?」

羊さんは湯のみを大事そうに持ちながら答えた。

🐏「お茶は。」

少し考えてから、

にっこり笑った。

🐏「冷める前に飲みましょう。」

☀️「そこ?」

🐏「そこです。」

二人は笑った。

その笑い声は大きくなかったけれど、

図書館の静けさには、ちょうどいい大きさだった。

その日から、

Silent Lighthouse 図書館のお茶学コーナーには、

「読むための本」と一緒に、

「少し休むための椅子」が置かれるようになった。

そして司書さんは、小さな札を添えた。

📚 この席は、急がない人のためにあります。

窓から入る風が、その札をやさしく揺らした。

この灯を 必要な誰かへ
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