朝の図書館。
まだ開館したばかりなのに、どこからともなく、やさしい香りが漂っていた。
ほうじ茶。
紅茶。
ハーブティー。
少しだけ甘い焼き菓子の香り。
☀️「……今日はいい匂い。」
🐏「はい。」
☀️「また新しい学問?」
🐏「たぶんです。」
司書さんは、いつものように新しい札を持って現れた。
📚「本日より、新しい棚をご案内いたします。」
ぱたん、と札が掛けられる。
🍵 お茶学(Tea Studies)
☀️「やっぱり!」
🐏「メェ。」
棚には、いろいろな本が並んでいた。
🌿 入門
- 『はじめてのお茶』
- 『世界のお茶時間』
- 『お気に入りの一杯を探そう』
🌸 実践
- 『紅茶の香り』
- 『ほうじ茶の午後』
- 『ハーブティーと静かな夜』
- 『急須とやかんの友情』
☁️ 哲学
- 『お茶は急がない』
- 『湯気の向こうで考える』
- 『一杯から始まる会話』
☀️「急須とやかんって、友達なんだ。」
📚「長いお付き合いです。」
その頃。
多目的室では、
教授羊が準備をしていた。
黒板には、
お茶学 特別講義
『おいしいお茶とは何か』
参加者は、いつもの顔ぶれ。
🐏🐏🐏
🦉
🦊
📖🍠
☀️
📚
教授羊は、静かに湯のみを置いた。
🐏🎓「本日の教材です。」
机の上には、お茶が一杯。
みんな黙って見つめる。
☀️「飲まないの?」
🐏🎓「まだです。」
「まず観察します。」
☀️「なるほど。」
🐏🎓「湯気。」
みんな見る。
🐏🎓「香り。」
みんな深呼吸する。
🐏🎓「では。」
「どうぞ。」
ようやく一口。
☀️「……おいしい。」
🐏「メェ。」
🦊「コン。」
🦉「ホー。」
ほこら様は目を閉じたまま、小さくうなずいた。
しばらく誰も話さなかった。
でも、
気まずい沈黙ではない。
ただ、お茶を飲む時間。
ページをめくる音。
風の音。
湯のみを置く、小さな音。
それだけで、図書館は満たされていた。
☀️「不思議だね。」
🐏「何がですか?」
☀️「誰も話してないのに、楽しい。」
羊さんは少し考えて答えた。
🐏「安心しているからです。」
講義の最後。
教授羊は黒板に書いた。
お茶学 第一原則
よいお茶は、
話を増やすのではなく、
心の余白を増やす。
部屋は静かだった。
でも、
みんなその言葉を、
ゆっくり味わっているようだった。
講義が終わると、
司書さんが新しい札をカウンターに置いた。
☕ ご自由にどうぞ。
二杯目もございます。
羊さんが目を輝かせる。
🐏「おかわり自由です。」
☀️「そんなにうれしい?」
🐏「はい。」
「よいことは、二回あってもよいのです。」
☀️「それ、名言かもしれない。」
帰る前。
Elureinは窓際の席で、
もう一杯だけ、お茶を飲んだ。
外では風が草を揺らし、
灯台は昼の光の中で静かに立っている。
☀️「羊さん。」
🐏「はい。」
☀️「今日、一番勉強になったことは?」
羊さんは湯のみを大事そうに持ちながら答えた。
🐏「お茶は。」
少し考えてから、
にっこり笑った。
🐏「冷める前に飲みましょう。」
☀️「そこ?」
🐏「そこです。」
二人は笑った。
その笑い声は大きくなかったけれど、
図書館の静けさには、ちょうどいい大きさだった。
その日から、
Silent Lighthouse 図書館のお茶学コーナーには、
「読むための本」と一緒に、
「少し休むための椅子」が置かれるようになった。
そして司書さんは、小さな札を添えた。
📚 この席は、急がない人のためにあります。
窓から入る風が、その札をやさしく揺らした。

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