最近、こんな話をよく見かける。
AIがさらに発達すれば、人間は今ほど働かなくてもよくなるかもしれない。
そしてそのとき、
「仕事がなくなったら、人間は何をすればいいのか」
という問題が出てくるのではないか、と。
それを見ながら私は少し笑ってしまった。
たぶん私は、その暮らしについては少しだけベテランだからだ。
働かない生活をもうずいぶん続けている
私は会社で働かなくなって、もうかなり・・・長い。
最初から「自由な人生を楽しもう」と思っていたわけではない。
でも振り返ってみると、働いていた頃より、今のほうがずっと豊かだと感じる。
これは自分でも少し不思議だった。
働いていた頃のほうが収入はあった。
けれど、お金を使う時間がなかった。
仕事へ行くための服が必要だった。
移動にもお金がかかった。
疲れていれば、食事も便利なものに頼る。
税金や社会保険もある。
そして何より、時間がなかった。
せっかくお金があっても、それを自分の人生の豊かさに変える余裕がなかった。
お金があることと豊かなことは同じではない
今は、以前より収入が少なくても豊かだと思うことがある。
ゆっくりお茶を飲める。
本を読める。
気になった歴史を何時間でも調べられる。
文章を書ける。
音楽を作れる。
知らない言葉を覚えられる。
散歩ができる。
何もしない日を作ることもできる。
お金そのものよりも、
時間と、自分で選べる余白があること。
それが思っていた以上に大きかった。
お金は、持っているだけでは豊かさにならない。
それを時間や経験や安心や美しいものに交換して、ようやく生活の中の豊かさになる。
そう考えられるようになった。
仕事がなくなったら人は何をするのか
AIによって仕事が減った未来を想像すると、
「人間は暇になってしまう」
と言う人がいる。
でも、本当にそうだろうか。
私はあまりそう思わない。
仕事をしていなくても、人間は意外と忙しい。
読みたい本はある。
知りたいこともある。
行ってみたい場所もある。
作りたいものもある。
料理をしてもいい。
植物を育ててもいい。
誰かと話してもいい。
地域の活動に参加してもいい。
子どもに何かを教えてもいい。
絵を描いてもいい。
音楽を作ってもいい。
昼寝をしてもいい。
ただ空を眺めてもいい。
人間の活動はもともと「労働」だけではない。
むしろ、今まで仕事があまりにも大きな場所を占めていただけなのかもしれない。
仕事がなくても社会とのつながりは持てる
働かなくなることを想像すると、
「孤独になるのでは」
という不安もあると思う。
でも、人とつながる場所は会社だけではない。
サークルでもいい。
読書会でもいい。
語学の集まりでもいい。
地域活動でもいい。
創作仲間でもいい。
オンラインの小さなコミュニティでもいい。
毎日同じ人と一緒にいなくてもつながりは作れる。
一人でいられる自由と、
誰かと会える場所。
その両方を持っていていい。
肩書きも一つでなくていい
会社中心の社会では、
「あなたは何をしている人ですか」
と聞かれると、職業で答えることが多い。
会社員です。
教師です。
看護師です。
自営業です。
でもこれからは、その答えも少し変わっていくのかもしれない。
働きながらYouTubeをしている人。
週に数日だけ働きながら創作する人。
子育てをしながら地域活動をする人。
文章を書いたり、音楽を作ったり、勉強したりしながら暮らす人。
肩書きは一つでなくてもいい。
もっと言えば、
肩書きがなくても生きていていい。
AI時代に必要なのは「暇つぶし」ではない
もしAIによって労働時間が減る未来が来たとして、
必要になるのは単なる暇つぶしではないと思う。
たぶん必要になるのは、
自分の時間を、自分で意味のあるものにしていく力だ。
何を面白いと思うのか。
何を知りたいのか。
何を作りたいのか。
誰といたいのか。
どんな一日を過ごしたいのか。
それを自分で探していく。
これは意外と、練習が必要なことだ。
ずっと学校へ行き、
そのあと会社へ行き、
決められた予定の中で生活していると、
突然自由な時間を渡されても、何をしていいかわからなくなることがある。
だからこれからは、
「働く技術」と同じくらい、
働かない時間を生きる技術
も大切になるのではないかと思う。
働かなくても人間は案外やることがある
私は会社で働かなくなって、ずいぶん経った。
それでも、退屈で仕方がないとはあまり思わない。
むしろ、
時間が足りない。
読みたい。
書きたい。
知りたい。
作りたい。
ぼーっとしたい。
お茶も飲みたい。
たまには誰かと話したい。
何もしない時間も欲しい。
人間は、仕事がなくても案外忙しい。
そしてもしかすると、
未来の社会で必要になるのは、
「どうやって仕事を見つけるか」だけではなく、
仕事以外の人生を、どうやって豊かにするか
という問いなのかもしれない。
もし本当に、AIによって働かなくてもよい時間が増える日が来たら。
私は未来の人に、こう言うと思う。
大丈夫。
人間は、仕事がなくても生きられる。
そして案外、
その先の人生のほうが長くて、面白い。

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