普通のまま死にたかった私の話
「休職してみませんか」
そう言われた時、私は嫌だった。
本当に嫌だった。
今ならわかる。
私は休職が嫌だったのではない。
休職によって失うものが怖かったのだ。
休職したら戻れなくなると思っていた
当時、カウンセラーから休職を提案された。
私は限界に近かった。
眠れない日もあった。
未来も見えなかった。
それでも私は首を振った。
休みたくなかった。
まだ働けると思っていた。
もっと頑張れると思っていた。
そうしなければいけない気がしていた。
私が怖かったのは「普通」から外れることだった
今振り返ると、
私が恐れていたのは休職そのものではなかった。
普通じゃなくなることだった。
周りは働いている。
毎朝会社へ行く。
給料をもらう。
社会人として生活している。
私はその列から外れたくなかった。
休職は、
ただ仕事を休むことではなかった。
私にとっては、
「普通」から外れることだった。
働くことは生きる資格だった
当時の私にとって仕事は収入だけではなかった。
働いている。
だから私はまだ大丈夫。
働けている。
だから私は普通だ。
そんなふうに自分を確認していた。
仕事は存在価値だった。
仕事は普通の証明だった。
だから休職は、
仕事を失うことではなく、
自分を失うことのように思えた。
普通のまま死にたかったんだ
今なら言葉にできる。
あの頃の私は、
普通のまま死にたかった。
苦しくても。
限界でも。
壊れかけていても。
普通の会社員のまま。
周りから見れば普通の人のまま。
そのまま終わりたかった。
休職するくらいなら。
普通から外れるくらいなら。
そう思っていた。
その人はこう言った
そんな私に、
カウンセラーは言った。
死ぬ前に。
できることをしてからにしよう。
不思議な言葉だった。
「頑張れ」ではなかった。
「生きなさい」でもなかった。
「死んではいけない」でもなかった。
まだ試していない道がある。
まだ終わりと決めなくていい。
そんな意味に聞こえた。
休職してもすぐには楽にならなかった
休職したからといって、
すぐに安心したわけではない。
次を探さなければ。
回復しなければ。
会社に戻らなければ。
そんな思いもあった。
だから最初の頃は、
正直あまり休めていなかったと思う。
身体は止まっても、
心は走り続けていた。
会社だけが世界じゃなかった
それでも時間が経って、
少しずつ気づいたことがある。
会社だけが世界じゃなかった。
あの頃の私は、
会社が世界そのものだと思っていた。
だから離れることが怖かった。
けれど実際には違った。
世界はもっと広かった。
生き方は一つではなかった。
働き方も一つではなかった。
そして何より、
私自身も会社だけでできているわけではなかった。
今休職が怖いあなたへ
もし今、
休職を勧められている人がいるなら。
怖いと思う。
私も怖かった。
だから無理に前向きな言葉は言いたくない。
ただ一つだけ伝えたい。
休職が怖いのは、
弱いからではない。
もしかしたら、
あなたにとって仕事がそれだけ大切だったからだ。
そして、
もしあなたが私と同じように
「普通から外れるのが怖い」
と思っているなら。
世界は思っているより広い。
会社だけが世界じゃない。
私はそれを、
会社を離れて初めて知った。

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