内側の子たちへ私ができること――誰も置き去りにしないための、小さな生活のメモ

目次

はじめに

これは、解離性同一性障害(DID)とともに生きる私が、内側の子たちに対して、日常の中で何ができるだろうかと考えた個人的なメモです。

医療的な治療法や心理療法を紹介するものではなく、特定の方法の効果を保証するものでもありません。

私自身の経験と思索をもとにした、暮らしのための覚え書きです。
治療については、医師や専門家との相談を大切にしています。

1.苦しみを聞き出そうとしない

内側の子たちが、どんな経験をしてきたのか。
私は、そのすべてを知っているわけではありません。

だからといって、無理に思い出そうとしたり、何があったのかを尋ね続けたりする必要はないと思っています。

過去の出来事を語らなくても、今の気持ちを大切にすることはできるはずです。

「何があったの?」
ではなく、
「今日はどうしていたい?」
「何か必要なものはある?」
そんな問いかけから始めたいと思います。

返事がなくても、何も感じられなくても、それでいい。

沈黙も尊重したいのです。

2.好きなものを見つける

内側の子たちのことを考えるとき、私はどうしても、彼らが経験したかもしれない苦しみに目を向けてしまいます。
でも、彼らには苦しみ以外の時間もあってほしい。

好きな色。
好きな音楽。
好きなお菓子。

触れていて心地よいもの。
眺めていたい景色。

何かを好きになることに、理由はいりません。
もし好みがわからなくても、急いで見つけなくていい。

私自身が美しいものや楽しいものに出会ったとき、内側の子たちにも、その経験を分かち合えたらと思います。

3.安心できる場所を考える

内側の子たちにとって、どんな場所が安心できるのでしょう。

静かな部屋。
柔らかな毛布。
暖かな灯り。
誰にも急かされない時間。

私の場合は、現実の暮らしの中に、そうした環境を少しずつ整えていきたいと思っています。

落ち着ける音楽を流したり、お茶を飲んだり。
何もしない時間を大切にしたり。

内側の世界についても、無理に何かを想像したり、つくり上げたりする必要はありません。

ただ、安心というものを、少しずつ知っていけたら。

4.小さな希望を尋ねる

大きな願いでなくていい。

「今日は何を食べたい?」
「どんな音楽を聴きたい?」
「少し休もうか?」

そんな日常の小さなことから、内側の子たちの希望に耳を傾けてみたいと思います。
もちろん、すべての希望に応えられるとは限りません。
私自身の体調や生活も大切です。

できないことがあっても、誰かを大切にしていないことにはならない。
無理のない範囲で、できることを探していきたいと思います。

5.何もしなくてもいい日をつくる

内側の子たちのために何かをしたい。
そう思うあまり、私自身が頑張りすぎてしまうこともあるかもしれません。

でも、いつも何かをしてあげる必要はないのでしょう。

今日は何も考えない。
何も尋ねない。
ただ、静かに過ごす。
そんな日があってもいい。

安心できる時間を増やすことは、必ずしも特別な活動を増やすことではないと思います。

6.今の暮らしを伝える

過去に強く結びついた不安や感覚が生じたときには、無理に説明したり、打ち消そうとしたりするのではなく、今の生活に目を向けてみたいと思います。

今日は何年何月何日なのか。
今、どこで暮らしているのか。
窓の外には何が見えるのか。
今日、どんな予定があるのか。

現在の安全を確かめられる状況なら、そうした日常の事実を静かに意識してみる。

苦しさが強いときには、一人で何とかしようとせず、必要に応じて専門家の助けを借りたいと思います。

7.私自身も大切にする

これは、忘れないようにしたいことです。

私は、内側の子たちを守りたいと思っています。
できることなら、誰にも苦しんでほしくありません。

けれど、私がすべてを背負えばいいわけではない。
自分自身を犠牲にして、誰かの幸せを実現しようとしなくてもいい。

私にも休息が必要です。
私にも喜びが必要です。

私もまた、大切にされていい存在なのだと思います。

内側の子たちだけでなく、私自身も含めて、みんなが穏やかに暮らせること。
それを目指したいのです。


おわりに――幸せになってほしい

内側の子たちに、私は何をしてあげられるのでしょう。

正直なところ、まだよくわかりません。
過去を変えることはできません。

すべての苦しみを理解することも、私には難しいかもしれません。
それでも、これからの日々にできることはあると思いたいのです。

美しいものを見つけること。
おいしいものを食べること。
安心して休むこと。
何かを好きになること。

そして、明日を少し楽しみにすること。

いつか、内側の子たちが、苦しみや役割だけではなく、それぞれの喜びを感じられるようになったら。

私も一緒に、笑っていられたら。
そんな未来を願っています。

今すぐ、何かが変わらなくてもいい。
まずは、今日を静かに暮らすところから。

小さな灯りを、ひとつずつ。
Silent Lighthouse


注記

本記事は、筆者が自身の経験を通して考えた、日常生活における個人的な工夫や願いを記録したものです。医療・診断・治療を目的とするものではありません。

解離性同一性障害(DID)の体験や必要な支援は人によって異なります。ここに記した考え方が、すべての方に当てはまるわけではありません。

症状や治療については、担当の医師や心理専門職などにご相談ください。

この灯を 必要な誰かへ
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