名前の軽さ|Invisible Exhaustion

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朝は来るだけで何も変わらない

朝は来る。
来るだけで何も変わらない。

目覚ましは鳴らない。
止める理由がないから。

スマホの画面に未読はない。
通知もない。

昨日と同じ。

働いているのに何も残らない感覚

働いている、ということになっている。

誰もそれを確かめない。
誰も困らない。

言われた通りにやっているだけ。
何かをしている気にもならない。

何もしていないわけでもない。
その中間で、ずっと立っている。

最初はちゃんと信じていた

最初は、ちゃんと信じていた。

やれば、変わると思っていたし、
少しずつでも積み上がると思っていた。

評価とか、結果とか。
そういうのがいつか追いついてくるって。

少しずつ削られていく日常

でも、
何かを差し出すたびに、軽くなっていった。

時間とか、体力とか、
言葉とか、感情とか。

減っているのに、
減っているって言えるほどの重さもなかった。

名前が自分のものじゃなくなる瞬間

ある日、名前を呼ばれた。

振り返ったけど、

それが自分かどうか、一瞬わからなかった。

「使われた後」の顔

帰り道、ガラスに映った顔は、
知らない人みたいだった。

疲れている、というより、
使われた後のものみたいだった。

手のあざに残った出せなかったもの

何も掴んでいないのに、
強く握りすぎていたみたいで、

手の甲に薄い紫が残っていた。

もう消えていいはずの色。
触れても痛くないのに、そこだけが遅れていた。

最初がいつだったか、思い出せない。

優しさの置き場所がわからない

誰かの役に立っているわけでもない。
迷惑をかけているわけでもない。

ただ、ここにいる。

それだけで、
何かを引き延ばしている感じがする。


優しくしろって言うけど、
優しさって、

どこに置けばいいのかわからない。

向ける先も、
戻ってくる先も、
もう、はっきりしない。

理由を探しても何も残っていなかった

それでも、続ける理由を探していた。

なんとなくでいいから、
ひとつくらい、残ってないかと思って。

……なかった。

もう探すのはやめた

もう、探すのはやめた。

たぶんこれは、
間違いとかじゃなくて

最初から

そういう——


(終)

🕯️ 名前の軽さ|Invisible Exhaustion

朝は来る

何も変えないまま

鳴らない目覚まし
理由もないまま

画面は静かで
昨日と同じ

働いてるって
ことになってる

確かめる人も
困る人もいない

何もしてない
わけじゃない

でも

何も
残ってない

ちゃんとやれば
変わると思ってた

ちゃんとやれば
残ると思ってた

評価とか
結果とか

あとから
ついてくるって

でも

差し出すたびに
軽くなっていった

時間も
言葉も
感情も

減ってるのに
減ったとも言えないまま

名前を呼ばれて

振り返って

それが自分か
わからなかった

ガラスに映る顔は
知らない誰かで

使われた後みたいだった

何も掴んでないのに
強く握ってた

そのまま残った
薄い紫

もう消えるはずの色

触れても
痛くないのに

そこだけ

遅れてる

役に立たない

迷惑でもない

ただ

ここにいる

それだけで
何かを伸ばしてる

優しくしろって
どこに置くの

向ける先も
戻る場所も

もう
わからない

それでも

探してた

理由を

ひとつくらい
残ってると思ってた

……なかった

もう

探さない

これは

間違いじゃなくて

最初から

そういう——

誰にも見えないまま減っていくものにも、名前はあるのかもしれない。

この灯を 必要な誰かへ
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