昔の私へ。
あの日の約束を今ここに記します。
目次
置いていかない
暗い部屋のすみで
息をひそめていた
呼ぶことさえ忘れて
夜を見つめていたあなた
閉ざされた扉のそば
涙の音を隠して
小さな手を胸に抱き
長い夜を越えていた
ごめんね
遅くなったね
あなたを消したわけじゃない
私はここにいる
もうひとりにはしない
怖いなら 動かなくていい
あなたが眠りにつくまで
この場所を離れない
声になる前の願いも
名前を持たない痛みも
正しさを示すために
差し出さなくていい
逃げたかったことも
消えたくなった夜も
生き延びようとしたあなたを
私は裁かない
ごめんね
長く待たせたね
今度は私から迎えにゆく
私はここにいる
もうひとりにはしない
震えたままでかまわない
あなたの胸の灯火を
この手で覆い守るから
帰ろう
まだ帰る場所がなくても
ここから居場所をつくろう
泣いてもいい
怒ってもいい
言葉を探さなくてもいい
私はここにいる
もうひとりにはしない
世界に見えない夜でさえ
私はあなたを見失わない
その手を二度と放さない
朝が遠くても
光が細くても
あなたのそばで待っている
ひとりにはしない
ひとりにはしない
あなたの息と
私の息を
同じ灯りのもとへ
ここにいる
私は ここにいる

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