【詩】かえっておいで

かえっておいで。
もう、そんなに遠くまで
誰かの痛みを拾いに行かなくていい。

かえります。
空っぽの手で、
私の呼吸だけを持って。


かえっておいで。
正しさの戦場で、
傷つきながら立ち続けなくていい。

かえります。
勝ち負けのない場所へ、
灯りの消えていない部屋へ。


かえっておいで。
誰かを救う役を、
ひとりで引き受けなくていい。

かえります。
名もない私として、
ただ生きていてよい場所へ。


かえっておいで。
配慮に配慮を重ね、
擦り減った言葉たちを連れて。

かえります。
黙っていても責められない、
静かな水辺へ。


かえっておいで。
あなたが置き去りにした、
やわらかな心のところへ。

かえります。
泣いてもいい、
笑ってもいい、
何者でもなくていい場所へ。


かえっておいで。
もう十分、外の風を受けたでしょう。

かえります。
私の名を知っている、
私のもとへ。


かえっておいで。

かえります。

ただいま。

この灯を 必要な誰かへ
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