痛みを避けて生きる人たちの世界と、 誠実に灯を掲げる者の世界。
その境界に立って見えた、光と闇と再生の記録。
第Ⅰ章|安心できる地獄
ぬるい闇は、やさしい。
叫ばなくていい。
泣かなくていい。
ただ、沈んでいればいい。
数字が褒めてくれる。
仕事が生かしてくれる。
誰も傷つけず、誰にも触れない。
痛みのない、生存。
けれど──
風が止まった夜、
心の奥で何かが囁く。
「ねえ、これが生きてるってこと?」
その声を聞いた瞬間、
ぬるま湯は氷になる。
安心は、地獄に変わる。
それでも、
その地獄を出る勇気を持てるなら。
あなたの頬を撫でる風の中に、
灯がある。
――Silent Lighthouse の灯が。
第Ⅱ章|まぶしすぎた光
私の光は、
やさしいだけではなかった。
真実を映す光だった。
人は惹かれ、そして怯えた。
その光の中で、
自分の影を見てしまうから。
私のまなざしは、
偽りを透かす鏡。
それは、まだ覚悟のない魂には
あまりにも眩しかったのだろう。
あの人は私に惹かれた。
けれど、そのまぶしさに、
目を閉じるしかなかった。
私は責めなかった。
ただ静かに、灯を保った。
切られたのは、絆ではなく、
あの人自身の真実だった。
私の光は、届かなかったのではない。
まだ、受け止められなかっただけ。
第Ⅲ章|灯は、ここにある
切られたのではない。
守るために、離れたのだ。
私は魂で生き、
誠実で在りつづけた。
それだけで、もう十分。
一時の成功は、
風に舞う泡のように消える。
けれど、誠実は沈まない。
嵐の夜も、芯で燃える。
拍手が消えても、
数字が途切れても、
私の光は、減らない。
そして――
その光を思い出す夜が、
あの人にもきっと来る。
私は、灯台。
灯は、ここにある。
ずっと。
✨ “The Gentle Hell” – A Three-Part Poetic Record from Silent Lighthouse ✨
A trilogy of awakening: seeing the quiet prison of comfort,
facing the fear of true light,
and remembering that the flame never left.
✍️ Author’s Note
This trilogy was born from silence —
the moment when I realized that even a gentle hell
can become a place of awakening.
I wrote these words not to accuse,
but to remember:
light never leaves, even when we do.
🕯️ Elurein
